略奪愛の結末

「篤朗　メグを愛してるなら　メグを悲しませないで。
わかってるじゃん　メグってそういう子でしょ？
もし自分が原因で　今築いてきた家庭が壊れるようなことがあれば
メグはそうなる前に死んでもいいって言ってた。
それだけ決意は固いから……
篤朗がどんなにメグを好きでも
メグがどんなに我慢をしてても
マリちゃんと飛勇がいる家庭は絶対に
壊れない…わかるよね。」

「わかってるよ。
マリが一生懸命耐えてくれていたのも
俺が必死で演技していたのも
全部この家庭を守るためだった。
飛勇が　俺たちの微妙な空気を読んで
子供のくせに頑張ってるのも……
だから…俺は必死だったんだ。」

「そうだよね。
何も知らない第三者が心配することではないね。
いろんなことを乗り越えて我慢してきたんだもの
それぞれが……。」

真紀の言葉にまた泣けてきた。


家まで送ると兄貴が言ったけど
頭の中の整理をしたくて歩いて帰ることにした。

冷たい風が　頭を冷やしてくれる。

マリが……がん……。

今はまだその事実を知らないマリが
俺の帰りを待っている。

俺はどんな顔をしてマリと向き合えばいい？
澄んだ星空を見上げる。

俺たち三人が
本当の幸せをつかむことは難しいのかもしれない。


本当の幸せ……か。


メグへの想いをまた封印しようと
俺は目を閉じる……。


そして歩き出した。
マリと飛勇の笑顔があふれるあの部屋の明かりを探す。