略奪愛の結末

マリは隣で寝ている飛勇を気にしながら
俺の愛撫に身をよじっている。

あばらが飛び出た体が
今日はか細く折れそうで…怖くなった。

「今日の篤朗おかしいね。」
マリが身支度を整えながらクスクス笑った。

「え？」

「私の記憶の中で　篤朗が誘うの
初めてだったもの。」

やっぱりマリにはわかっていた。

「私がもうすぐ死ぬからって優しくしなくていいよ。
篤朗じゃないみたいで　気持ち悪いもの。」

「そんなんじゃないよ。」
慌てる。

「飛勇に…ちゃんと話そうと思う。
これから入院もするし　具合も悪い日もあるし
飛勇が辛い日も増えちゃうから…今から話して
わかってもらおうと思って……あの子なら大丈夫だよね。」

「理解できるか？
俺だってこんなに混乱してんのに……。」

「飛勇ならできる。
篤朗より…ｳﾌﾌ…落ち着いてたりして…。」

俺はマリの体を抱き寄せる。

「何だか皮肉だよ…こんなになったら篤朗が
近づいてくれたなんて…ﾌﾌﾌ・・・。」


申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

「ごめん…今まで俺さ…つめたすぎた。
ネットで調べたんだ…ストレスでもなりやすいんだって
俺のせいだね……だけどさ信じられないんだ……
違う病院に行ってみよう。治るっていってくれるよ。
治るための治療をしようって言ってくれるから。」

「ううん。私も不安でいろいろ調べていたの。
だから怖かった…。でもスッキリした。
残された時間で　やらなきゃならないことがたくさんある。
泣いたり落ち込んだりは極力少な目で……。」

愛おしさがこみあげてき力いっぱい抱きしめる

「篤朗…やっぱおかしいよ。」マリの声も震えていた。