略奪愛の結末
次の日は小学生の大会に飛び級で出られるという
飛勇は午前中から練習だった。

俺は仕事に行く気分にはなれなくて
今日は行くのをやめた。

朝からひんやりとしてはいるけど
いい天気でマリと飛勇を乗せて運転手になった。

「今日はね 何点とれるかな~。」
飛勇が楽しそうにそう言った。

「大きい子たちのグループだから
ちゃんとお兄ちゃんたちに挨拶するのよ。
よろしくお願いしますって。」

「大丈夫だよ。」

飛勇は親が言うのもなんだけど賢くて
世渡り上手なところがある。

ちゃんと可愛がられるように行動できるのも
見習わなければいけないと思う。

「具合大丈夫か?寒いから無理するなよ。」

「うん…大会見に来られるかな…。」

「退院できなかったらビデオ撮っておくよ。」

「うん・・・。」

厚着をしてグランドに出ていくと
子供に楽しませてもらっている親たちがたくさんいた。

「おはようございます。
幼稚園組の逸見 飛勇です。よろしくお願いします。」

マリが頭を下げたので俺も慌てて下げた。

「よろしく~~さっき飛勇も
ちゃんと挨拶して行ったよ。」

気のよさそうな夫婦が笑った。

「私ね…この場所が家の次に大好きなの。
飛勇のおかげで…楽しかったな~~。これからも
ずっとずっと大きくなってもこうして……
飛勇を見ていたいな……。」

飛勇がゴールを決めて こっちを向いて手を振った。

マリはちぎれんばかりに手を振りかえした。
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