略奪愛の結末
何も手につかなかった。
マリが……小さな飛勇を残して 篤朗を置いて……
両親のところへいってしまうの?

「じゃあ この世で私
一人ぼっちじゃない……。マリしかいないのに…
マリは私よりずっと長生きしてくれるはずなのに

この世で一人ぼっちになる

離れていてもマリが幸せに暮らしている
そう思えば 貯金や飛勇へのプレゼントも
たとえ会えなくても それが私の生きがいだった。


マリに奪われた 女の幸せだったけど
篤朗のことは本当に愛してたけど
飛勇を囲んで二人が親の顔に変わっていくのを
見ていると マリのおかげで
篤朗の運命を誤まらせることがなくてよかったって
感謝していた。

これから先もしばらく距離を置いて
三人の間のわだかまりが消えて
マリが会いたいって言ってくれたら
その時は絶対に会おうって決めていたのに


今 マリが会いたいと言った。

それももうせっぱつまった状態で


「おかあさん 私はどうしたらいい?
マリを連れて行くの早すぎるよ……。
変わってあげたい…私には何もないのに
どうしてマリを連れて行っちゃうの?
マリにはたくさんの未練があるのに……。」


マリもそして篤朗も
嘆き悲しんでいるだろう。

はたして私に何ができるんだろう。
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