略奪愛の結末
「助けてほしいの。」マリが切り出した。

「え?」

「これから入院したりすることが多くなって
飛勇にまともなことをしてあげられなくなる
おねえちゃんの手を借りたいの。」

マリの言葉に驚く私

「だって…ママさんだっているでしょ?
私なんか…必要ないと思うわ。」

「飛勇にはこれから長い時間 母親がいなくなるから……
勝手だってわかってる……こんなこと
おねえちゃんに頼んじゃだめだって…だけど
おねえちゃんにも助けてほしい・・・。
こんなこと頼める分際じゃないってわかってるんだ
でも私が託せる人は おねえちゃんしかいない。
助けて……お願い。」


さっきまで落ち着いていたマリが激しく泣きだした。

「マリ……ちょっと待ってよ……。」

「おねえちゃんから篤朗を奪い取って こんなこと
お願いしちゃダメなのわかってる。
でもわかってても 飛勇をお願いしたいの。」

すがりつくマリ

「最後までわがまま言ってるけど
飛勇が母親を必要としてる時に 手を貸してほしい。
おねえちゃんなら 飛勇を任せて逝ける。
私の大切な家族なの……。
お願いおねえちゃん……うんって言って!!」

さすがに簡単には首を縦には振れない。

「マリ…それは簡単には承諾できないわ。
今までみたいに 影からって形なら喜んで……
だけど飛勇の前に出るのは…無理よ。」

飛勇の前に出る
それは篤朗に再会することにもなる。

今まで何のために影に徹してきたのか……
それこそ都合のいい存在のようで 
素直にはなれなかった。

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