略奪愛の結末
「私をなんだと思ってるの…あの子は
いつもそう…。これ以上利用しないでよ。」

マリをタクシーの乗せて 私は店を出た。

マリに振り回されて生きてきた。
両親から妊娠を告げられて 複雑な気持ちでマリを
迎えて 今まで一身に受けていた両親からの
愛情を全部持って行かれて…
だけどもう大きいんだからと言われ
プライドもあったし 疎外感と必死に戦ってきた。


マリが憎くてたまらなかった。

屈託のない笑顔で 私からすべてをとりあげた。


両親の愛
将来の希望
そして篤朗との未来も・・・・


マリが苦しいのもよくわかったけど
だけど許せなかったのは

私に託してしまったら 闘う姿勢を失うことだった。

今 マリからその姿勢を失わさせたら
きっと逃げ出してしまうに違いない。


家庭では無理してでも 前向きに見られるように
努力しているなら 病気のためにも
甘えはいけないと思った。

ガックリと肩を落としたマリに
突き放した罪悪感もあったけど


私だっていつまでもお人よしではいられない。
マリの事情に手を貸してあげなかった自分が
すごく意地悪だったと思う気持ちを必死でかき消す。


これはマリの責任だもの
マリの家庭だもの


都合良い時だけ おねえちゃんて呼ばないで


余命のついた妹のすがり付いた手を
振り払う最低な姉・・・・・・。


「たまには私だって 鬼になるよ。」
凍えた夜 吐く息は真っ白になった。


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