略奪愛の結末
マリを車に乗せて篤朗が戻ってきた。

私は篤朗の香りがするコートを脱いで
ダウンと交換した。

「ありがとう。メグがいなかったら 探せなかった。
酔いつぶれて凍死してたかもしれない。」

「よかった。そうだったらお役に立てたわ。
今日マリが店に来ていたんだけど ちょっと
冷たくしちゃって…私もよかったわ。」

「そっちに……まったく何考えてるんだ。」

「でしょ?振り回さないでって言ったわ。」

「ごめんな。あいつ……。」篤朗の声が震えた。

「信じられない……違う病院なら何とかならない?」

「いろいろ調べたけど 真紀さんからも聞いたりしたけど…
進行がとても速いらしい。」


「マリがいなくなったら 私はこの世で一人になっちゃうわ。」

「申し訳ない・・・・
俺が無理やりもっと早く連れて行けば……。」

「マリを幸せにしてねってお願いしたじゃない…。」

「すまない……。」

「まさか こうやって会うことになるなんて
思ってもいなかったわ。
今まで影で息をひそめていたのに…。」

涙が落ちた。

「マリのこと 大切にしてあげて・・・・。」

「わかってる。
今まで悲しませてきたのかもしれない……。
俺がちゃんと愛してやらなかったから…ストレスも
あったのかもと思う。」

「お願いします。篤朗に…篤朗にしか
できないもの……。飛勇のこともよろしくお願いします。」

悲しい三角関係の私たち・・・・。

私は篤朗に再会して 胸のときめきを抑えられなかった。
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