略奪愛の結末
「いらっしゃいませ。」

従業員の声がして 店の入り口を見ると
マリが飛勇を連れて立っていた。


「うわ~ママ 可愛いね。」

飛勇は声をあげながら進んできた。

「ママ どれが欲しい?
飛勇の貯金で買ってあげられるかもしれない。」

思わず吹き出してしまった。

「あれ?あれ?おばちゃん?」

目を丸くして近づいてきた。

私を覚えてるんだ・・・・そう思うと嬉しくなった。

「ひさしぶりね。飛勇くん。
覚えててくれたんだ。」

私は膝をまげて飛勇と目線を合わせた。

「うん!!」

「おばちゃん イメチェンしたんだけどな~。」

「うん いいよ そっちの方が
とっても元気に見えるし カッコイイもん。」

「ありがと。」

なぜ マリは飛勇を連れてきたのか考えながら
私は マリを見つめた。

「この間はありがとう。
篤朗から聞いたの……。ごめんなさい。」

「元気そうでよかった。もう無茶しないでね。」

飛勇は 店の中をゆっくり歩き始めて

「ママ このカップ 可愛いよ!!」声がした。

「どうして飛勇を連れてきたの?」

「おねえちゃんに会わせたかったの。
今さら勝手なことしてるのわかってるけど…
今までも勝手だったでしょ。一番慣れてるものね。」

マリの笑顔は悲しそうに見えた。
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