略奪愛の結末
まだこんなに未練があるなんて 自分に恥じた。
篤朗と一緒にいる空間が 夢のようで
私は片思いしているような 錯覚に陥る。


もう終わった恋のはずが
私の中では全然終わってはいないことを痛感する。

でもその想いは絶対に知られてはいけない。
マリを混乱させて 篤朗を巻き込んで
そして可愛い飛勇を悲しませることになるから。

ただ篤朗に会うたびに
想いが強くなってしまうのが辛い


これからはなるべく会わない方がいいと思った。
平静を装い 何でもないふりをして


今日をやり過ごそうと誓う。


友達に囲まれて飛勇は楽しそうだった。
美味しい料理にケーキを平らげて
それを見つめるマリが 穏やかでそして……悲しげなのが
胸をついた。


もし自分がマリだったら

想像するだけでたまらなかった。
まだまだこれから飛勇とともに 生きて見守って
支えて行くはずの マリの人生が

来年の誕生日には自分はいないかもしれない
何ともいえずに心を暗くさせる。


友達を見送って 主役が戻ってきた。

「今日はママが具合が悪いので おばあちゃんや
真紀ちゃんにお世話をかけてすみませんでした。
おばちゃんも 来てくれてありがとう。」

飛勇はそう言って頭を下げた。

「ママ ちゃんと言えたよ!!」

飛勇は 涙をいっぱいためたマリを振り返る。

「うん うん さすが飛勇だね~~」
マリは思いっきりおどけたように 涙を隠した。

切ないよ・・・・マリ・・・・。
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