略奪愛の結末
姉という人間はどこまで お人よしなんだろう。

私は姉のプレゼントだと知らずに
飛勇の成長に合わせて使わせてもらったものを
思い出していた。

「飛勇くん・・・ごめんね。
何がいいのか 想像もつかなくて・・・。
今まではおもちゃとか 洋服とか そんなので
よかったんだろうけど…
もう 字読めるかな……。」

つまらないだろうけど 恐縮しながら 絵本を渡した。

「この絵本に負けないくらいいろんな色を使って
たとえば ママやパパの顔 
お出かけ先で見つけた綺麗な風景とか
ここに書いてくれたら きっと飛勇くんは
忘れないと思うの。」



それから クレヨンとスケッチブック
水彩ペンのセットを渡した。

「飛勇 絵描きさんみたいだな~。」

パパが言った。


「うわ~~すごい!!!
飛勇ね 絵書くの大好きなんだよ!!」

「ほんとに?おばちゃんも絵は大好きなの。
おばちゃんは 飛勇くんくらいの時はね
絵描きさんになって世界中を飛び回りたかったんだよ。」


そうなんだ
姉の夢を初めて知った。

「綺麗な絵でね みんなの心にある悩みとか
哀しみとかを一瞬でも忘れてもらいたいって……。」

「そういえば メグ 高校の時 何かで優勝してたよね。」

「うふふ そんなこともあったわ。」


「学校の団旗もメグがデザインしたんだよな。」

卓ちゃんもなつかしそうにつぶやいた。
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