略奪愛の結末
「どうした?眠れないのか?」

篤朗が背中から抱きしめてくれた。

病気になってから篤朗が優しいのが悲しいけど・・・。

「ごめん 起こしちゃったね。」

「具合悪いのか?」

「大丈夫だよ。ちょっと夢見ちゃって。」

篤朗の逞しい腕の中で この命を終えることができたら
どんなに幸せだろう・・・・。

でも 私にはその資格はない

だけど今は この腕の中でひととき幸せをかみしめよう。

「篤朗…飛勇楽しそうだったね。
来年のお誕生日も笑顔でいてくれるかな。
お願いね…みんな笑顔で…飛勇のお誕生日してあげてね。
それからもずっと 
飛勇が愛する人と誕生日を迎えるって言うまで
篤朗には迷惑かけちゃうけど……。」

「うん。頑張るよ。」

「よかった。」

「その時は おねえちゃんと一緒に……お祝いしてね。」

この言葉を言うのが辛かった。

「おねえちゃんと一緒なら 篤朗も飛勇も大丈夫。」

「マリ?何言ってんの?」

「おねえちゃんに助けてもらうの。」

「そんな勝手なこと言うなって。」

「ずっと自分勝手な妹だったから
最後まで勝手なこと言わせてもらうの。」

「勝手すぎるぞ。メグを巻き込むな。
これは俺ら家族のことなんだからさ・・・・。」

私は篤朗の手を握り締めた。

そうだよ…誰にも渡したくなかった……
篤朗の心が私になくても……だけど……
最後くらい運命に逆らわないで終わらせたいんだよ。
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