略奪愛の結末
「もしもし・・・・。」

寝ぼけた声の姉

「おねえちゃん マリ。」

「どうしたの?」

「今日 お休みでしょ?
お願いしたいことがあるんだ。」

そう言って姉を家に呼んだ。

姉は 部屋を見渡して 自分のプレゼントしたものを
見つけては嬉しそうに手にとって見ている。

「いいね。家庭って感じがする。
飛勇の写真とか……。」

そう言いながら姉が目を移したのは
結婚式の家族写真だった。

「なつかしいでしょ。」声をかけた。

「うん。なつかしいね。
でも今の方が私 若く見える?」

「見える見える~おねえちゃん すごい
イメチェンしたものね。」

「勇気がいたんだよ~。」

久しぶりに姉妹の会話になっていた。

「で お願いって何?」

「私ね…今 あんまり人の前に出たくなくて…
やつれてるからそういう目で
ママ友たちに見られたくないんだ。
それで…今日ね…ミニ運動会があるんだけど
変わりに行ってくれないかな。」

姉を呼んだのには 企みがあった。
だけど 好奇の目で見られるのがイヤなのは本当

飛勇がかわいそうで

何度も鏡を見ながら出てあげたいと思ったけど
やっぱり無理だった。

「私が?だって何もわからないのに……。」

姉も困った顔をした。
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