略奪愛の結末
「飛勇 ママには今日のこと言わない方がいいよ。」

「え?何で?」

「や…何かママ可哀そうだろ。
美味しいもの食べてきたとか……。
きっとママだって食べたいんだよ。」


飛勇は困った顔をした。

「ママにちゃんと協力したって言いたいけど
そうだね…ママもきっと食べたいね。
パパ いつママはご飯食べられるの?」

「病気があまり良くないから……まだ無理かな。」

そう濁すしかない。
飛勇には自分から話すから


マリはそう言っていたけど
多分 言葉が見つからないんだろう。

飛勇はマリには何も言わなかった。

「ママ~~今日もめっちゃゴール決めたんだよ。」

「ほんと?すごいな~
飛勇は絶対サッカー選手になれるね。
ちゃんと勉強もして英語もしゃべらないと
これからは世界で戦うんだから。」

「そうだね!!飛勇ね 日本代表にもなるよ。」

「ほんと?楽しみだな~君が代歌うのね。」

マリは目を閉じる。

「今 大きくなった飛勇が歌ってる~~」

飛勇はちょっとしかわからない 君が代を
熱唱している。

マリの笑い声を久しぶりに聞いた。

「今日は具合いいのか?」

「うん……。飛勇見てると元気になった。」

俺はマリの頭を撫ぜる。

「何かね…病気は辛いけど……
今 とっても幸せだよ 篤朗……。
毎日いろんなこと考えて 精一杯生きてるって感じで……」

マリはそういうとニッコリ微笑んだ。
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