略奪愛の結末
「ママはね
病気がよくならないんだ。
わかる?すっごく痛くて辛いんだ・・・・。
ご飯も食べられなくて 前みたいに飛勇とかくれんぼしたり
おにごっこしたり サッカーごっこもできなくて……
飛勇の前では 頑張ってたけど
痛くて痛くていっつも泣いてるの。」

「ママ 病院行ってるの?」

「うん でもママの病気は病院じゃ治せないんだって。
治せるのは 神様しかいないみたい。」

「神様って天国にいるんだよ!!」

「だからね 天国に行くことにした。」

俺はたまらなくなって 飛勇の後ろに寝転がった。

「天国って 死んじゃうってことだよ。
パパのおっきいおじいちゃん いったとこだよ。」

飛勇は去年 初めてお葬式に参列していた。
それが強烈に頭に入っているのか
しばらく 死についてしつこく質問をしていた

まさか それが この準備だとは思わず

「そうだね…おっきいおじいちゃんのとき 飛勇に話したの
もう忘れちゃってるよね。
天国には神様がいるってことだけは覚えてるみたいね。
人間には全員に 生きる時間が決まっててね…
その時間がいつ一杯になるかは 神様しかわからないんだけど
ママには 神様がね もう少しだよって 教えてくれたんだ。」

「どうして?」

「ママがあんまり辛そうで痛そうにしてるからみたい。
もう可哀そうなんだって・・・。」

マリは笑った。

「飛勇もママがかわいそうだって思うでしょ?」

「うん…ご飯食べられないし…いつも具合悪いし…。」

「神様も もう可哀そうって思ったみたいだよ。」

「だって天国行ったら会えないっしょ。」

飛勇の声が涙声になってきた。
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