略奪愛の結末
マリの容体は悪かった。

「時間の問題だと思います。」

医者の言葉が もうすぐ来るマリの闘いの
安らかな終わりを予感させた。


みんなが病院に集まってきた。

「やっぱり 何だか不安だったのよね。
あの穏やかさが……。」真紀さんが飛勇の頭を撫ぜた。

「ママは?ママ・・・・。」

飛勇は何度も俺に聞きに来た。

「飛勇 男だろ?
ママがおまえに一生懸命話してくれたこと思い出せ。
強くなって受け止めるぞ。」

飛勇は唇をかみしめた。

とうとう来る別れの時を 覚悟するように


慌ただしく看護師が出入りする。

飛勇はメグに抱きついた。

「ママ 頑張ってるよ。
飛勇も見たよね。苦しくて辛くてそれでも
頑張ってたでしょ。
今も闘ってる……。」

飛勇はメグにしがみついた。


「飛勇のママは強いよ。
飛勇もママに負けないように強くなるんだよ。」

誰もがさっきまでのマリの
穏やか笑顔を思い出して 涙を流していた。


病室に入ると 管につながれたマリがいた。
もう話せないだろう状態になっていた。


「飛勇おいで。」真紀さんが真っ赤な目をしていった。

「ママの手を握ったり 名前呼んであげたり
お話してあげて…耳は聞こえてるんだよ。
飛勇のぬくもりはわかるんだ。頑張ってくれるよね。」

飛勇は大きくうなずいた。


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