略奪愛の結末
「ママ あのね ヒック…。」

嗚咽を途中に入れながらも 飛勇はマリに語りかける。

「飛勇ね 勉強一杯してね 英語しゃべって
世界のサッカー選手になって
日本代表になってね 君が代歌うよ。
それからね パパとおばちゃんのことも
絶対仲良くさせるからね……頑張る
飛勇 頑張るから……ママはいっつもそばに
いてくれるんだよね。だったら寂しくないよ。
飛勇はいっつもママに話かけるね……。」


いろんな機械音がする病室で 負けないように
飛勇が語りかけている。

小さい手で冷たくなってきたマリの手を
握り締めている。

「ママ 手あっためてあげるよ。」

俺も向かい側に座ってマリの手を握った。

「マリ…ありがと……。」

一瞬 手が ギュウと握り返した気がした。


飛勇と目が合って
二人でマリを見つめた。


「ママ !!!」


「マリ!!!」

二人で何度も呼んでみたけれど
ピーっという音が 鳴り響いた。


真紀さんが声を出して泣きだした。

「マリちゃ~~~ん!!!」



看護師がやってきて それから医者が入ってきた。

冷たいマリの手が動いた瞬間を忘れられなかった。


マリが闘いを終えた・・・・・・。
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