略奪愛の結末
「飛勇 時間だから・・・。」

「だってだって…まだまだなんだもん。」

スケッチブックにはもう書ききれないほど絵が
書かれていた。

「飛勇…入れてあげていいのか?」

「ダメだって!!終わってない!!」

泣き叫ぶ飛勇
自分が書いていることで少しでも
マリとの別れを遅らせようとしている。

「飛勇 もうここにはママはいないのよ。
ママの体を早く返してあげないと
ママ天国に行くのが遅くなっちゃうよ。
体がないとママの魂が困るでしょ?」

メグが優しく諭す。

「だって ママ
どこ行っちゃうの!!」

「もう体の中にはママがいないんだよ。
だから早く体を返してあげよう。」

「だって…だって~~~」


「スケッチブック入れてあげようね。
これも一緒に天国に届けよう。」

飛勇はメグにしがみついて大泣きした。

「ほら 飛勇しっかりしなさい。
ママに届くように 飛勇の顔しっかり見せてあげて。」

飛勇はスケッチブックをお棺に静かに置いた。

メグはマリの手にスケッチブックを
しっかり持たせて

「これでママに届くからね。」と言った。


参列者からは泣き声が漏れて
俺も大きく深呼吸をした。


最後に花をもってマリの体にちりばめて
冷たく固くなった唇にキスをした。

冷たくて…固くて…石のようで・・・・

「愛してるよ マリ。」そうささやいた。
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