略奪愛の結末
「私も働くんだから おねえちゃんももう
いつでも結婚していいからね。」

「ありがと。でも残念なんだけど 相手がいないから。」

「その気になればおねえちゃんなら
絶対できるじゃん。」

「その気ね~~~。
頑張ってみるわ。」

「おねえちゃんだってもうすぐ三十歳なんだからね。」

「こら~~そういうこと言わない~
まだ二十八歳だからね。」

姉の笑顔が 可愛らしかった。

こんな笑顔で笑われたら篤朗だって……。


「どんな人が好き?」

「ん~~~誠実な人かな。」

不倫するような男が好きなんだから
誠実なんてないじゃん。
少し意地の悪い気持ちになった。

「それには 自分が誠実じゃなきゃね。」

思わず出た言葉に姉が

「どういう意味?」と言った。

「ううん~~ほら 自分もちゃんとしてなきゃ
ダメでしょっていうこと。
マリも気をつけなくっちゃ。」

「あ そういう意味。」


姉はそういうとキッチンに立ち去った。


おねえちゃん 人のもの好きになっちゃダメよ。
絶対 罰があたるもの。

常識人なつもりの私は心の中で舌を出した。
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