に じ い ろ~Rainbow Days~
幸福
「…髪、すごい切っちゃったね」
あいつらが去った、体育館裏。
そっと私の髪に触れる未来。
大丈夫だから、と笑うと、一層泣きそうな顔をするから。
「でもほら、未来と同じくらいになったし。おそろいだよ、おそろい」
わざとらしく明るく振る舞うと、ぽろぽろと涙を流す未来。
今度は私が、未来にハンカチを渡す番だった。
「……ごめん……
あたし、何にもできなかった……」
なんで、泣いてくれるんだろう。
私なんかのために。
その泣き顔が、悲しくて、悔しくて、ちょっぴり、嬉しくて。
もらい泣きしそうになるのを、笑顔でこらえた。
「……ねえ、ヒカリ」
うつむいたまま小さく呟く未来。
何?と首を傾げると、顔を上げて、彼女はにっこりと笑った。
涙はもう、止まっていた。
「両想いだね」