黒神×銀姫【番外編集】
「……連夜、行こう」
連夜に手を伸ばすと、パシンと振り払われる。
それでもいいから、頼むから、
「……母さんと父さん、見送ってやろうぜ…………頼むから…」
視界は歪んでいき、連夜の顔がぼやける。
だけど、少しだけ視界が良くなって見えたのは、連夜の頬に滑り落ちる雫と連夜の驚きの表情だった。
「…………麗夜…」
「ふ、く…………」
一度流れ出した涙は止まらない。
止まる事を知らずに俺の目から零れ出していく。
「…………強く……ならなきゃなんねぇんだよ……‼
俺達が、母さんと父さんを安心して逝かせてやんねぇと……‼
俺等は弱いままだ…………‼」
父さんと母さんは忙しい人で。
しょっちゅうご飯を残して「ごめんね」と呟いて家を出て行った。
ある時は早朝、ある時は真夜中。
母さんと父さんに暴露てないのは確実だと思う。
父さんと母さんの居ない時には連夜と2人で縮こまってよく寝た。
そうしないと、不安で何かに押しつぶされそうになる。
…………怖かったんだ。