空
「まだ治らないと決まったわけではありません。早急に入院して治療しましょう。」
「わかりました。」
母さんとお医者さんはそう会話して、席をたった。
あたしが呆然としていると、母さんは「ほら」とあたしを立たせて診察室をでた。
待合室で母さんはあたしにいった。
「…大丈夫、お医者さんは涼香を見捨てたりしないから」
あたしは頷くこともできなかった。
(…あぁ)
神様はいじわるだ。
まだ、あたしは16なのに。
やりたいこといっぱいあったのに。
あたしはうなだれて、静かに涙を流した。