海宝堂〜海の皇女〜
「シルフェリア、お前を悲しませるつもりはなかった。手離したことに許しを求めるつもりもない。
しかし、話さなくてはならないのだ。
…お前の身に危険が迫っている。」
セイドはシーファの前にかがみ、そう言った。
「昼間の奴らを覚えているな?
あいつらには、ボスがいる。名前はヌルド。
ヌルドはこの皇国を我が物にしようと企んでいる。」
「…それが私と関係が?」
「ヌルドはあなたが生まれたばかりの頃、恐ろしい計画を立て、それを実行するために、城に攻め込んできたのです。」
当時を思い出したのだろう、アリアの唇は怒りで震えた。
セイドが続ける。
「攻めるといっても戦いではなかった。
静かに、良識のある者の仮面をかぶって城に入り込んだ。
そして、次期王位継承者を自分の手の内に入れてしまおうとしたのだ。
恐ろしい事に、お前を自分の妻にするという事だった。」
「……でも、私はまだ赤ちゃんで…」
「代々、王家の者には強大な力が継承される。
それは絶対的なもので、勝てる者はいない。
私に戦いを挑むより、お前を思うように育てたほうがより確実に国を乗っ取る事が出来ると考えたのだ。
そんなおぞましい計画をオババに聞かされ、私達はお前を海の上に逃がすことにした…
例え、私の代でこの国が終わろうとも、お前をヌルドに渡したくなかった。」
ぎゅっとアリアのシーファを抱く腕に力がこもった。
「お前がいなくなり、ヌルドは本性を表し、力で乗っ取ろうとしたが、王家の力に勝てるはずもない。
ヌルドは逃げ、しばらくその身を潜めていたのだが…」
「諦めず、私を探していた…?」
シーファの言葉にセイドはうなずいた。
「お前を探しながら、強力な仲間を集め、自分の組織を作り上げたのだ。
最近、その不穏な動きが活発になり、警戒を強めていたときに…運命の時がやってきてしまった…」
「運命の時…?」
「今日の満月…それが、オババが言い遺した運命の時…」
シーファは海の上で聞いた言葉を思い出していた。
――――まんげつが、くるよ――――
しかし、話さなくてはならないのだ。
…お前の身に危険が迫っている。」
セイドはシーファの前にかがみ、そう言った。
「昼間の奴らを覚えているな?
あいつらには、ボスがいる。名前はヌルド。
ヌルドはこの皇国を我が物にしようと企んでいる。」
「…それが私と関係が?」
「ヌルドはあなたが生まれたばかりの頃、恐ろしい計画を立て、それを実行するために、城に攻め込んできたのです。」
当時を思い出したのだろう、アリアの唇は怒りで震えた。
セイドが続ける。
「攻めるといっても戦いではなかった。
静かに、良識のある者の仮面をかぶって城に入り込んだ。
そして、次期王位継承者を自分の手の内に入れてしまおうとしたのだ。
恐ろしい事に、お前を自分の妻にするという事だった。」
「……でも、私はまだ赤ちゃんで…」
「代々、王家の者には強大な力が継承される。
それは絶対的なもので、勝てる者はいない。
私に戦いを挑むより、お前を思うように育てたほうがより確実に国を乗っ取る事が出来ると考えたのだ。
そんなおぞましい計画をオババに聞かされ、私達はお前を海の上に逃がすことにした…
例え、私の代でこの国が終わろうとも、お前をヌルドに渡したくなかった。」
ぎゅっとアリアのシーファを抱く腕に力がこもった。
「お前がいなくなり、ヌルドは本性を表し、力で乗っ取ろうとしたが、王家の力に勝てるはずもない。
ヌルドは逃げ、しばらくその身を潜めていたのだが…」
「諦めず、私を探していた…?」
シーファの言葉にセイドはうなずいた。
「お前を探しながら、強力な仲間を集め、自分の組織を作り上げたのだ。
最近、その不穏な動きが活発になり、警戒を強めていたときに…運命の時がやってきてしまった…」
「運命の時…?」
「今日の満月…それが、オババが言い遺した運命の時…」
シーファは海の上で聞いた言葉を思い出していた。
――――まんげつが、くるよ――――