海宝堂〜海の皇女〜
城に爆音が鳴り響き、ガルは勢いよく身を起こした。眠れなかったのだが、どこからか聞こえてきた心地よい音に、いつの間にか眠ってしまっていた。
隣のベッドではまだリュートが寝息を立てている。

「起きろ。」

ガルにベッドを蹴られ、リュートはもそもそと起き、寝ぼけた顔で辺りを見回した。

「……なんだ？」

「爆音がした。先に行くぞ。」

すでにドアを開けて足を廊下に出していたガルはそう言って姿を消した。
リュートは慌ててベッドを降りて後を追う。

「ニーナ、シーファ。
起きてるか？」

ガルが女部屋のドアをノックする。
中から顔を出したのは、ニーナけだだった。

「…ガル…何かあったの？凄い音がしたけど…」

「俺にもわからない。
…シーファは？」

「それが、いないのよ。
寝ていた形跡はあるんだけど…」

「なぁっ、何だよ、一体。」

やっと追い付いたリュートがガルの肩を掴む。

「とにかく、音のした方へ行くぞ。
昼間の奴らかもしれないからな。」

走り出すガルにニーナが続く、準備はすっかり整っている。
それに比べてリュートはまだ鞄を下げておらず、またもモタモタと後を追った。


爆発はシーファのいる部屋に近く、衝撃で思わずしりもちをつくほどだった。

「な…一体何が…？」

「…ヌルドじゃ、あいつらが攻めてきたのじゃ…
こんなに早いとは…」

予想外の襲撃にセイドは焦りを見せる。

「シルフェリア、狙いはあなたです。
逃げなさいっ！」

「でも…私だって、私達だって戦えます！
そもそもヌルドなんて奴がいるから…」

「いかんっ！そうなればお前の正体がバレる可能性ができてしまう。
その前に姿を消すんだ！」

セイドはシーファに駆け寄り、行くように促した。
しかし、シーファは動こうとしない。

「でも、それじゃ父上達が…」

「大丈夫だ、王家の力を信じよ。ヌルド達なんぞに負けはせん。」

セイドとアリアはシーファを廊下に連れ出すと、爆音がしたのとは反対方向に押しやった。
シーファは後ろを気にしながら廊下を走り出した。
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