海宝堂〜海の皇女〜
「お断りします。
私達はもう地上に帰りますから。」
シーファは立ち上がり、ヌルドから離れようとしたが、腕を捕まれ、引き戻されてしまった。
「…帰る?ここが、あなたの故郷…」
「違うっ!離してっ!」
腕を振りほどこうとするがヌルドは痕が残るくらい掴む手に力を込める。
「離せ。」
そんなヌルドの腕を、ガルが掴んだ。
2人の視線がぶつかり、火花を散らす。
「…あなたに用はありません。
私が話をしたいのはこの方だけです。」
「帰ると言っている。離せ。」
ガルはさらに口調に力を込める。
ヌルドは呆れたようにため息を吐くと、軽く頭を振った。
「やれやれ…分かって頂けないのなら、こちらも手段を選んではいられませんね…
実は、ここに来る途中、恐れ多くもこの国の王様と王妃様にお会いしましてね。」
ヌルドはシーファの心中を計るかのように、あくまで自然を装って話し始めた。
「それが、お付きも付けず、御2人だけで。
何かあっては、と、こちらまでご一緒したのですが…」
ヌルドがそう言うと、リュート達の後ろから、セイドとアリアが姿を見せた。
2人の後ろには、昼間、バルームで出会った鎧の優男と、廊下の天井に頭が擦れるんじゃないかというほどの大男が、ぴったりとくっついていた。
見えはしないが、多分刃物を突き付けられているのだろう、2人の顔色が良くない。
「!!!っ!」
「王様!」
「王妃様っ!」
「私達の事は気にせずともよい、早くここを発つのじゃっ!」
「ヌルド、本当にこの方達は私達とは関係ありません。
ただ旅の途中、この国への道を見つけ、善意から村を助けてくださっただけです。」
2人はその身を拘束されながらも王家の威厳を保ち、冷静に言う。
シーファはそんな2人の視線を受けて、逃げろと言われているのが痛いほどわかった。
2人を、本当の両親を…置いていくなんてできない。でも、逃げたい…このまま、ここにいたら、ヌルドだけじゃない…リュート、ニーナ…ガルにバレてしまう…そうなったら、今度こそ、置いていかれてしまうかも…
そう思うと、動けなかった…
私達はもう地上に帰りますから。」
シーファは立ち上がり、ヌルドから離れようとしたが、腕を捕まれ、引き戻されてしまった。
「…帰る?ここが、あなたの故郷…」
「違うっ!離してっ!」
腕を振りほどこうとするがヌルドは痕が残るくらい掴む手に力を込める。
「離せ。」
そんなヌルドの腕を、ガルが掴んだ。
2人の視線がぶつかり、火花を散らす。
「…あなたに用はありません。
私が話をしたいのはこの方だけです。」
「帰ると言っている。離せ。」
ガルはさらに口調に力を込める。
ヌルドは呆れたようにため息を吐くと、軽く頭を振った。
「やれやれ…分かって頂けないのなら、こちらも手段を選んではいられませんね…
実は、ここに来る途中、恐れ多くもこの国の王様と王妃様にお会いしましてね。」
ヌルドはシーファの心中を計るかのように、あくまで自然を装って話し始めた。
「それが、お付きも付けず、御2人だけで。
何かあっては、と、こちらまでご一緒したのですが…」
ヌルドがそう言うと、リュート達の後ろから、セイドとアリアが姿を見せた。
2人の後ろには、昼間、バルームで出会った鎧の優男と、廊下の天井に頭が擦れるんじゃないかというほどの大男が、ぴったりとくっついていた。
見えはしないが、多分刃物を突き付けられているのだろう、2人の顔色が良くない。
「!!!っ!」
「王様!」
「王妃様っ!」
「私達の事は気にせずともよい、早くここを発つのじゃっ!」
「ヌルド、本当にこの方達は私達とは関係ありません。
ただ旅の途中、この国への道を見つけ、善意から村を助けてくださっただけです。」
2人はその身を拘束されながらも王家の威厳を保ち、冷静に言う。
シーファはそんな2人の視線を受けて、逃げろと言われているのが痛いほどわかった。
2人を、本当の両親を…置いていくなんてできない。でも、逃げたい…このまま、ここにいたら、ヌルドだけじゃない…リュート、ニーナ…ガルにバレてしまう…そうなったら、今度こそ、置いていかれてしまうかも…
そう思うと、動けなかった…