海宝堂〜海の皇女〜
自分に迫ってくる2人の敵。シーファは応戦するために身構える。
スピードのあるビュウがシーファの手を取りにかかるが、シーファはその手をはじきとばし、腹が空いた所を突くつもりだった。
「――っがっ!」
次の瞬間、シーファは壁に背中を強打していた。
壁からずり落ち、やっと息が出来たのと同時に腹がじんじんと痛み出す。
「シーファっ!」
リュート達はその速さにかばうことも出来なかった。
その巨体を死角に隠して、アーターが殴り付けたのだと理解した。
暴れ足りないのか、アーターが次々とリュート達に襲いかかる。
3人が吹っ飛ばされるのを尻目にビュウがゆっくりと近づきながら、鞘に収めていた剣を抜く。
ガルが走り出すが、ビュウの剣は容赦なく降り下ろされた。
「!!シーファあっ!」
ビュウは剣を鞘に戻しつつ、あっさりとシーファに背を向けた。
「…ヌルド様。間違いありません。」
ビュウが頭を下げてすっと横にずれる。
シーファは無傷だった。
一筋の血も流れていない。
そのかわり、着ていたシャツが深くVの字に斬り込まれていた。
下から覗くのは、くっきりと浮かび上がった―紋章―。
ヌルドが満足げに笑った。
「その紋章が何よりもの証拠!
あなたはまさしく、この皇国の正当なる王位継承者、シルフェリア皇女だ!」
「…シーファ…」
「違うっ!私は人間よっ!この国とは関係ないっ!」
シーファは胸を押さえて叫んだ。
リュートは唖然としていたが、ニーナとガルは黙って目を伏せた。
「違うの…違う…だから…」
―置いてかないで―
それは言葉にならなかった…。
シーファの振り切ることの出来ない宿命に、3人は顔を上げられなかった。
シーファはヌルドに向かって走り出す、その形相は憎しみが溢れだしていた。
「うぉおおおおおっ!!」
怒りを込めた一撃が、守りに入ったビュウの顔面に食い込んだ。
意外な力に目を丸くしてビュウは床に叩きつけられる。
体制を立て直し、もう一度ヌルドに拳を向けようと睨み付けたのが失敗だった。
目の前を手で覆われ、何かの匂いを感じた後、足が崩れ、景色がぼやけた。
体は自由を失い、ヌルドにその身を預けることになってしまった。
スピードのあるビュウがシーファの手を取りにかかるが、シーファはその手をはじきとばし、腹が空いた所を突くつもりだった。
「――っがっ!」
次の瞬間、シーファは壁に背中を強打していた。
壁からずり落ち、やっと息が出来たのと同時に腹がじんじんと痛み出す。
「シーファっ!」
リュート達はその速さにかばうことも出来なかった。
その巨体を死角に隠して、アーターが殴り付けたのだと理解した。
暴れ足りないのか、アーターが次々とリュート達に襲いかかる。
3人が吹っ飛ばされるのを尻目にビュウがゆっくりと近づきながら、鞘に収めていた剣を抜く。
ガルが走り出すが、ビュウの剣は容赦なく降り下ろされた。
「!!シーファあっ!」
ビュウは剣を鞘に戻しつつ、あっさりとシーファに背を向けた。
「…ヌルド様。間違いありません。」
ビュウが頭を下げてすっと横にずれる。
シーファは無傷だった。
一筋の血も流れていない。
そのかわり、着ていたシャツが深くVの字に斬り込まれていた。
下から覗くのは、くっきりと浮かび上がった―紋章―。
ヌルドが満足げに笑った。
「その紋章が何よりもの証拠!
あなたはまさしく、この皇国の正当なる王位継承者、シルフェリア皇女だ!」
「…シーファ…」
「違うっ!私は人間よっ!この国とは関係ないっ!」
シーファは胸を押さえて叫んだ。
リュートは唖然としていたが、ニーナとガルは黙って目を伏せた。
「違うの…違う…だから…」
―置いてかないで―
それは言葉にならなかった…。
シーファの振り切ることの出来ない宿命に、3人は顔を上げられなかった。
シーファはヌルドに向かって走り出す、その形相は憎しみが溢れだしていた。
「うぉおおおおおっ!!」
怒りを込めた一撃が、守りに入ったビュウの顔面に食い込んだ。
意外な力に目を丸くしてビュウは床に叩きつけられる。
体制を立て直し、もう一度ヌルドに拳を向けようと睨み付けたのが失敗だった。
目の前を手で覆われ、何かの匂いを感じた後、足が崩れ、景色がぼやけた。
体は自由を失い、ヌルドにその身を預けることになってしまった。