海宝堂〜海の皇女〜
「うぉおおおおおっ!!」

ガルは叫び声をあげながら、飛び起きた。

「ガルっ!
ニーナ、先生呼んでこいっ!」

「うんっ!」

リュートに言われ、ニーナが部屋の外に走っていった。

ここは城の中の一つの部屋。ガルがいるのはそのベッドの上だった。

ガルは肩を大きく上下させて辺りを見回した。

「大丈夫か?3日も寝てた上に、今、物凄いうなされてたぞ。
俺らも結構酷かったけどよ、お前が一番、あの怪物の攻撃喰らってたもんな〜」

リュートはベッド横の椅子に座って軽く言った。

リュートの体にも、自分の体にも包帯が大量に巻かれていた。
ほとんどが打撲だってよ。と、リュートが言う。

「リュート…お前…生きて…?」

やっと絞り出した言葉がこれ。
リュートは明らかに顔を怒りに歪めた。

「なんだよっ、縁起でもねえっ!ちゃんと生きてるよっ!
ニーナも無事だし、俺らより軽症。
お前、うなされてると思ったら…んな不吉な夢見てたのかよ?」

「……………悪い…」

ガルが頭を下げるとリュートは、ま、いいさ、と、笑った。

「…さっき、3日寝てたって言ったな?
あれからどうなった?
…シーファは?」

夢のシーファが浮かんで、一瞬、聞くのをためらった。

「それが、まだ何の動きもねえんだよ。
城の兵士達が必死で探しても、奴らのアジトがわかんねぇんだよ。
セイド王が言うには、あのヌルドって奴は、シーファを殺すのが目的じゃねえらしくてよ、命の危険はないってさ。
詳しくはお前が起きたら聞くってことになってる。」

「そうか…」

ヌルドの目的はシーファ自身…だとしたら…夢を思い出して、振り払うように頭を振った。
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