海宝堂〜海の皇女〜
「なんだ、こいつら…本当にここに攻め込んできたのかよ?」

雷流をしまってリュートが言った。

「確かに、雑魚過ぎるわね…」

「…足止め…時間稼ぎかっ?」

ガルはそう言うと、先に走り出した。
リュートとニーナもそれに続く。

走って、走って、走って。やっと城の一番奥にたどり着く。

大きく美しい装飾が施された扉。
それが、セイドの話していた神器の封印の間だった。

ガルがそっとドアに手をかける。

「うわああぁっ!」
「きゃあああっ!」

中から聞こえてきたのは、間違いなくセイドとアリアの叫び声だった。

「セイド王っ!」
「王妃様っ!!」

体当たりで扉を開けると、2人は壁に叩きつけられていた。

「…う…お主達…」

セイドは部屋の奥にある大きな滝を指差すと、アリアの手を握り、気を失ってしまった。

「――っ!なんてことを…」

「おや、あなた方は確か…やっとのご登場ですか?遅かったですねぇ〜
私はてっきり、地上に帰ったものと思ってましたよ。」

ヌルドが嫌な笑い声をあげる。
その横にはやはり、ビュウとアーターがいた。

「シーファはっ?
シーファはどこだっ!?」

辺りを見回してもシーファの姿は無い。
確かにここにいるはずだ。

「シーファ…?
ああ!シルフェリア皇女の地上でのお名前ですね。

皇女なら、王位を継承する儀式の最中ですよ。
邪魔をしないで頂きたい。」

ヌルドが滝の方を見て、そう言う。
シーファは滝の向こうだ。
ガルが滝へと駆け寄ろうとする。
が、ビュウがそれに立ちはだかる。

「邪魔をするなと言われただろう?」

「うるせえっ!
シーファは王位は継がねぇっ!俺達の仲間だっ!」

ガルは腹の底から、そう叫んだ。
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