海宝堂〜海の皇女〜
その一撃はまさに鬼気迫っていた。

その迫力にガルはかわしきれず、剣先を深く右腕に受けてしまう。

「――ぐぅっ!
…しまった…」

「ガルっ!」

アーターと戦っているニーナがそれを見て声をあげる。
ガルはビュウから目を離すことなく言った。

「大丈夫だ。
自分の戦いに集中しろ。」

「いいのか?助けてもらわなくても?

最も、2人がかりでもアーターにほとんどダメージを与えられないガキが何人増えても同じことだがな!」

ビュウが笑いながら、惜しみ無くその剣技を披露し、ガルを追い詰めていく。

ガルはそれをどれも紙一重で避けていた。
しかし、動く度にドクドクと傷口から真っ赤な血が流れていく。

「俺の剣に串刺しになるか、血がすべて流れ出るか、お前の死はどっちだろうなぁ?」

「どっちも御免だな…」

ガルは剣のスピードに慣れてくると、時々現れるビュウの隙をついては、拳を繰り出す。

だが、どれもビュウを仕留めるほどの力は込もっていなかった。

大量の出血、ビュウの素早い動き、体力は急速に奪われ、気力だけで、攻撃をかわし続けていた。

息が荒い、心臓の音がうるさい…

「もう、おしまいにしようぜ。
お前はいろいろこの俺に説教くれたからなぁ…
礼として、頭から真っ二つにしてやるよぉっ!」

ビュウは剣を両手に構え、頭の上に振りかぶると、狂喜の笑みを浮かべながら、それを振り下ろした―!


ガキンっ!


鈍く嫌な音がして、ビュウの剣はガルの頭、ギリギリで止まっていた。

「…もう、短剣じゃねえぞ…お前と同じ、剣だ。」

ガルはその手に石でできた剣を握り、攻撃を防いでいた。
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