海宝堂〜海の皇女〜
時は少し前にさかのぼる―


ガルがビュウと戦いを始めようとしているとき、リュートとニーナもアーターと対峙していた。

「さぁ…アイツはガルに任せて、私達はこの化け物倒しちゃうわよ。」

「おう!

…………で、どうすんだ?」

「…やっぱりあんたは何にも考えてなかったのね…」

「だって、お前がなんか考えてんだろ?
それでいいよ!」

アーターを睨みながらニーナはため息を吐いた。

「ま、いいわ。

リュート。あいつの動き、一瞬でいいから止めて。」

「へ?一瞬?」

この緊迫した状況の中、気の抜けた声を出すリュート。

「そう、一瞬でいいの。
動きが止まったら、離れて。私が弾火を撃ち込んだらまた一瞬、動きを止めて。

でも、いい?絶対に攻撃は受けちゃダメよ?
上手くかわして、隙をつくの。」

「でも、弾火使ったらアイツのスピードが増す…」

「そこら辺も考えてあるから、行って!」

「分かったよ…」

ブツブツ言いながら、リュートは雷流を取り出す。

「行くぞ、化け物っ!」

リュートが飛び出す。
アーターはリュート目掛けて大きな手を振り下ろすが、リュートは軽々と避け、代わりに床が砕けた。

「なんだ、思ったより鈍いなっ!」

隙をついて、雷流を腕に巻き付ける。
電流を流すが、アーターは動じず、雷流の巻き付いた腕を振り回した。

「うわぁっ!」

「リュート!離れてっ!」

雷流を離して、ニーナの隣に着地した。
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