海宝堂〜海の皇女〜
ニーナは弾火をホルスターにしまうと、リュートを見た。

リュートは必死に立ち上がろうとしている。
しかし、まだ少しかかりそうだ。
それだけ、アーターの力が強いということで、ニーナは寒気を感じた。

(どうする?リュートがあれじゃあ、時間をかせいでも、同じ様に動けるかどうか…
一か八か…でも、まだ早い…っ)

必死で頭を回転させながら、リュートとアーター、2人を交互に見比べる。
ニーナの心臓はこれまでにないくらい、早く打っていた。

すぐ横で戦っているガルの声が耳に入る。

「ガルっ!」

「大丈夫だ。戦いに集中しろ。」

早く戦いを終わらせなければ…ニーナの心が焦る。

「ま…けるかぁっ!
俺は倒れない…倒れねえぞぉっ!」

気合い一発。
リュートは叫びながら、立ち上がった。
ニーナはほっと息を抜いた。

ふっ…

急に目の前が暗くなる。
アーターが拳を振り下ろす直前だった。

「―――!!」

「ニーナぁっ!」

リュートが雷流を伸ばす。
流れる電流にアーターの動きが止まる。
ニーナは間一髪、前方に転がって難を逃れた。
ついでに、一発撃ち込んでおくのも忘れずに。

「大丈夫かっ!?」

「それはこっちのセリフよ!
大丈夫?まだイケる?」

「当然。」

リュートは親指を立てて見せた。

ニーナはその笑顔に安心した。
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