海宝堂〜海の皇女〜
リュートは気合いを入れ直して、アーターにまた向かっていった。

アーターは益々、イライラを募らせている。

今まで、ヌルドの下で思い通りにならない事なんてなかったのだろう。

小さな2人の人間に翻弄され、そのプライドは粉微塵にされつつあった。

体に電流が走る。
硬直する自分の体はどうしようもない。
と、同時に痛みが襲う。
大したことないのに、こうも続くとうっとおしくて仕方なかった。

「うごあぁあああああっ!」

もう一度、リュートがバランスを崩すかと叫んでみるも、今度は上手くいかなかった。

ずっと気配を感じてる。
ヌルドが戦いの様子を見ている。
負けたらきっと…

その恐怖がアーターを攻撃へと駆り立てた。

「…んっとに、丈夫な奴だなぁ…」

「ぐちぐち言わないっ!」

何度目かの雷流と弾火。
でも、その効果がやっと現れた。

アーターの右膝が崩れ、床に膝をついた。

「!よっしゃあっ!」

アーターの頭がパニックを起こす。
あんな小さな攻撃で何故?

答えは簡単だった。
ニーナは最初からずっと、まぶたの一発を除いては、右膝に正確に撃ち込んでいたのだ。
一発一発は小さくとも…

「塵も積もればなんとやら…ってね!」
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