海宝堂〜海の皇女〜
「ニーナ、次はっ!?」

まだうずくまるアーターに視線を止めたまま、リュートが言う。

「…一気に、いくわ。
私が弾火を取ったら、雷流を…」

「あいつに向けるのか?」

「ううん、弾火に絡ませて。」

「よっしゃ、弾火に……………って、弾火にぃい?」

目をひんむいてリュートはニーナを見た。
ニーナの顔は真剣そのものだ。

「…本気…なんだな?」

「当たり前でしょ?
いい?巻き付けたら、エネルギー全開ね!」

「……わかった。」

雷流を弾火と合わせる。
口で言うのは容易いが、弾火をニーナが握っている以上、ニーナが感電するのは当然。
そんなことがわからないニーナではないから、リュートは自分も覚悟を決めた。

アーターが起き上がりつつある。
ニーナは今まで使っていたのとは反対の弾火の上に手をかざした。

(こっちには、逃げてる時に少しずつエネルギーを溜めておいた。
これを、雷流と合わせてあいつに当てれば…)

ニーナが弾火を抜く!
リュートが雷流を絡ませる!

アーターは火の存在に気付き、顔を上げる。

「―気付かれたっ!」

「…う…あああああっ!」

思った通り、雷流の電流はニーナの体で暴れまくっている。

「…ニーナ…」

雷流を持つ手に力が入る。

「…ぐっ…ダメよ…放さないで…
…それより、もっと集中して…ああっ!」

「集中ったってよぉ…」

「…弾火の…エネ…ルギーを…包み込むような…イメージ…で…呼吸を合わせ…て…」

ニーナに言われ、リュートは呼吸をニーナに合わせる。
だんだんと落ち着き、ニーナの体に流れていた電流が弾火に集まっていく。

「――――――――きた。」

ニーナの手の中で、弾火は今までにない光を放っていた。
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