海宝堂〜海の皇女〜
「すげぇ…すげぇ、すげぇ、すげぇぞっ!!」

「…これで…おしまいよっ!」

引き金を引く。
ぼっ!と音を立てて、リュートが抱き抱えるほどの炎が生まれた。
そして真っ直ぐアーターに向かって飛んでいく。

「――――っ!?」

アーターは咄嗟に身を起こし、両手で炎の玉を受け止めた。

「がぁああああああああああっ!!!!」

「…………うっそだろ…?
受け止めるか?あれを…」

「はぁっ…はあっ…
リュート…もう一発撃つ準備…して…」

「な…もう一発ってお前…無理だろ!」

肩で息をしながら、すでに立っているのがやっとのニーナに、二発目を撃つのは誰がどう見ても無茶だ。

「でもっ…このまま、弾かれたら…」

ものすごい勢いで燃える玉を掴むアーターの手が焼ける。
しかし、それでも押し返そうという力は弱まらない。

リュートはぐっと雷流を握ると、アーターに向かって走り出した。

「リュートっ!?」

「もう一発も撃たせるかぁっ!
これで最後だあぁっ!」

雷流を伸ばしてアーターの足に絡ませる、そしてありったけの力を込めて、電流を流した。

「―――ぐぉっ!」

一瞬、アーターの体が硬直した瞬間に炎の玉は手をすり抜け、アーターの顔面に直撃し、破裂した。

「ぐっ………ぎゃああああああっ!」

壮絶な悲鳴が部屋に響く

立ち上がる嫌な臭いの煙。

リュートはニーナの方を見ると、びっ、と親指を立てた。

「…だから、似合わないって…」

ニーナの顔に安堵の笑顔が浮かんだ。
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