海宝堂〜海の皇女〜
「ごめんなさい、もっと聞きたいけど、ちょっとコレ持ってて。」

女はリュートに買い物袋を押し付ける形で渡す。
リュートはバランスを崩しながらも、それを受けとると、走り出していた女を目で追った。

「おいっ…ちょっと、なぁって…」

その突然の行動にガル達はも、女の行く先に視線を移す。
と、ある店の前に大きな男達と少年が対峙していた。
女は走ってそこまでたどり着くと、男達と少年の間に入ると、男達には背を向けて少年となにやら話し始めた、男達は無視されて今にも拳を振り上げそうだ。

「ちょっと、大丈夫なの？あいつら、ヤバそうよ。」
ニーナの言葉に促されるまでもなく、リュートとガルは足を進めていた。


「トマトなら大丈夫。今日は使わないから、だから早く帰りなさい。」

「でも、シーファ姉ちゃんっ、俺のせいなのに…」

「いいから、姉ちゃんの実力、忘れたの？」

女は少年の背中を押して、ここから帰らせるつもりのようだった。少年は後ろを気にしながらも、しぶしぶ帰っていった。

「おい、姉ちゃんよぉ…あんたがさっきのガキの代わりに責任とってくれるっていうことか？あぁ？」

男達のリーダーっぽい奴のズボンには、潰れたトマトが見事に模様を作っていた。

「責任？なんでトマトが当たったぐらいでぎゃあぎゃあ言う男に、そんなもんとらなきゃならないのよ。
しかも、子供相手に…みっともないったら…」

鼻で笑ってみせる、女に男の血管が音を立てた。
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