海宝堂〜海の皇女〜

「お〜こわ…
それにしても、不思議な人よね。強いし、リュートの話しは真面目に聞いてたし、ガルの料理バカを笑わなかったし…」

ニーナがシーファの向かったほうをながめて言った。

「ふつー、人の話しは真面目に聞くんだよ！」

「………………その話しはやめろ。」

「あの子はいい子だよ。しっかりしてて、面倒見もいいしねぇ〜」

おばちゃんが感心して大きくうなずいた。

「さっきの男の子は弟？兄弟の世話をしてるんですね。」

ニーナの言葉におばちゃんは首を横に振った。

「違うんだよ。あの男の子はこの島の孤児院の子なのさ、シーファちゃんは孤児院に住み込みであの子達の世話をしてるんだよ。」

「孤児院で…子供達の世話…。じゃあ、家は他に？」

「それがねぇ〜３年くらい前だったかねぇ、ふらりと島にやってきて、いろいろと仕事を探してたんだよ。」

「３年前…じゃあ、よそ者？」

「ああ、そうさ。最初はみんな怪しんだもんだけど、孤児院の先生が引き取ってから、働きもんでいい子だってわかってね、今じゃ島であの子の事を知らない奴なんかいないさ。」

「へぇ〜…で、前にいた所は何処なんです？親とか…。」

ニーナが聞くとおばちゃんは表情を曇らせた。

「…言いたがらないんだよ。故郷の事も、親御さんの事も。でも、やましいことをしたりした訳じゃないって言うから、みんな、あの子を信じることにしたんだよ。」

「ふーん、父ちゃんとケンカでもしたのかなぁ？」

単純なリュートにガルはため息をついた。

「ますます不思議な人だわ。髪は綺麗な金髪なのに、瞳が黒かったし。」

「お前、よく見てんな〜俺、んなこと気付かなかったぞ？」

「お前の注意力が足りないからだ。いつも物事をよく観察しろって言ってるだろ？」

「あーうるせー！」

「ま、とにかく、彼女は悪い人じゃないんだから、この話しはおしまい。
おばちゃん、本題、本題。」

「あ、そうだね…
いや、最近になって聞こえてきた噂なんだけどね…」

３人はおばちゃんの話しに耳を傾けた。