あなたの声
「じゃあここを…原田!
お前解いてみろ!」
「え…」
いきなり当てられた上に
問題も全然聞いてなかったあたしは黙るしかなかった。
――コンコン
ふと机を見るとノートの切れ端に答えらしきものが書いてあった。
隣を見ると口パクで「言え」と言う平川隼人の姿が。
「おい原田」
「あ、はい!えっと」
あたしは平川隼人の答えを信じ、口を開いた。
「x=√5です」
「よし正解だ」
「はぁ…
あの、」
「ん?」
「ありがとう」
「あぁうん」
これが平川隼人と初めて話した瞬間だった。