あなたの声
屋上に着くとやっと手を離してくれた。
琉都はゆっくり振り返り
あたしをじっと見てきた。
その目は怒ってる表情よりも
悲しい表情って感じだった。
「な、なに?」
「なぁ」
「ん?」
あたしは必死に冷静を保ち、答えた。
「なんで避けんの?」
「べ、別に避けてなんか」
「じゃあなんで目合わせないの?」
琉都やっぱり気付いてたんだ。
琉都は自分のかっこよさに気付いてないんだよ…
「……」
「こっち向けよ」
「無理…」
「んでだよ」
「……」
何も答えないでいると
琉都に無理矢理顔を上げさせられた。
その瞬間一瞬だけ目があった。
でもすぐに反らした。