密関·蜜時間
冷静な私は思う本来ならここまで抵抗はしないだろう。
経験が無いわけでもあるまいし、生理的にOKなら大人なキスを交わし、一夜の過ちで終わる。

しかし、私の相手は私が好意を抱いていた相手ではない!数時間前まで、単なる会社の社長としてでしか認識していなかった人間なのだ。しかも妻子持ち、奥さん·子供の顔まで知ってる人と、大人な関係と割り切りキス出来る程、私は大人でも常識はずれでもなかった。

抵抗するだろう!

『少し黙れ!』
いらついているような、困ったような顔で村川は言った。

私は、たくさんの言葉と力のある限り抵抗しているからだ。

キスされた時、村川の唇びるを噛んでまで抵抗した。血が出ていた。

私の家の前に着いた。

別れ際、大人だキスくらいでうろたえないと腹をくくり。

『お疲れ様でした、ご馳走様でした』

努めて、いつもと変わりなく御礼を言い車を降りた。
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