純情♡SWEETIE
毬乃は来るだろうか、

ベンチにのん気に座っていられず、渡り廊下をウロウロしていた。

こっちに歩いてくる女の子が見えた。

毬乃?

髪が肩のところでカットされ、この前より顔色がいい気がした。

背筋がピンと伸ばして歩幅を大きくとって歩くのは毬乃の癖。

モデルをしていて身についたんだろう。

本人は気がついてないだろうが、

あまりにもさっそうと歩くから人目を引いてしまうんだ。

って、オレなんで隠れてんだよ。

ベンチの前まで来た毬乃が俺の姿を認めて戸惑った。

そうだよな、どう見ても怪しい、

隠れてのぞき見をする男だ。


「来ないかと思った。」

そう言ったオレに、

呼ばれなくてもきっと来るつもりっだったって、

あの時一人で大騒ぎした上、

眠ってしまったことが恥ずかしくて

合わせる顔がなかった言って

照れくさそうに笑った。


「馬鹿だなあ。」

オレはその一言に俺と毬乃のこれからを込めた。



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