純情♡SWEETIE
SIDE毬乃

月光が、緊張しているのが分かる。


「なんで今日に限ってこんなに並んでるんだ?」


観覧車の列で不機嫌になっている。


「ほかの乗り物にする?」


「なんでだよ。俺はどうしてもここからやり直したいんだよ。」


「分かってるよ。」


手を握ると、満足そうに笑う。

ここからやり直したいからって、受験生のくせに

どうしてもここに来るって聞かなかった。

瑠羽や里奈ちゃんたちまで巻き込んで。


「毬乃乗るぞ。」


「あ、うん。」


全ての歯車がここから狂い始まったんだと考えているんだと思う。

ここで、ちゃんとキスしてたら、あの事件は起こらなかった。

そうなのかな、と疑問は残るけど。

そこにこだわる彼の気持ちを汲んであげたかった。



あれからあたしたちはキスをしていない。


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