超ド級なヘタ恋愛。
がらがらと、いかにもな音をたてて開く扉。

視線が俺に集まった。

けして軽やかとは言えない足取りで、教壇へ立つ。

「皆。転校生の上森君よ。じゃあ上森君。自己紹介宜しくね。」

先生の言葉にこくりと頷く。

「上森宏海(うえもりひろうみ)です。宜しくお願いします。


ぺこりと一礼すると、何人かの女子が顔を赤らめていた。

コソコソと聞こえる会話はあまり心地よいものじゃない。

はぁ。本日三回目の溜め息をつこうとしたときだ。

「実は、もう一人いるのよ。」

先生が、にこりと笑うのと同時に入ってきたのは、ショートカットがよく似合った女の子だった。

その子は、つかつかと教壇へ上り、自己紹介を始めた。

「上森そら(かみもりそら)です。宜しくお願いします。」

にこりと笑った顔に、どきりとしてしまった。


可愛いな・・・・・・。
もっと近くで見たい。


って!俺は何を考えているんだッ!!
初対面の女がいくら可愛いからって、許されない行為だぞ俺!
これじゃあ、俺、変態じゃん!

ぶんぶんと頭を振っていると、
先生が苦笑いしながら、俺の席を指差した。

「あそこが、上森君の席。その隣が上森さんの席ね。」

窓側の一番後ろか。なかなかの席だな。

なんとか落ち着き、席へ座ると
前の男子が声をかけてきた。

「よっ。俺は、芳川李登(よしかわりと)。よろしくぅ!」

幼い顔の少年だ。

イタズラ好きそうだな。

大きなダークブラウンの目は、
透き通って見えた。

「上森宏海だよ。よろしく。」

「ひろうみ・・・・ヒロだな!」

お前のあだ名っとニコニコ笑う少年は顔だけでなく、性格も幼いようだ。
「んじゃぁ、お前は・・・リト?」「リト!よしっ。気に入った。それでいいぞっ!」


ほのぼのとした空気の中、チラリと横の上森さんを見た。

仲良さそうに、前の女子と話していた。

そんな俺を見てか、リトがその女子の説明をしてきた。

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