双子の悩み
✩春✩
春・・・周りの人たちは高校生になり少し浮かれている感じがする。
しかし私の気持ちは重かった。
南野セシル。
高校1年生。
母日本人、父ロシア人の
生粋のハーフ。
白い肌、大きい目、スラリと伸びた足、サラサラの黒髪、
とても回転の早い記憶力のいい頭。
いわゆる美人。
なぜ私の気持ちが重いのかというと。
その理由は高校に入ってはじめてのテスト。
私はとても頭が良く、中学ではぶっちぎりの1位。
県で偏差値が1番高い高校に余裕で入学。
もちろん今回のテストも1位だと確信していた・・・。
しかし私は2位。
900点満点で、私は891点。
誰が1位かなんて分かっている。
南野リル。
私の双子の妹。
私の方が52秒先に生まれた。
中学では、勉強をめんどくさがってやらなかった。
しかし高校受験で私と同じ中学を受験。
もちろん余裕で受かり、双子で同じ学校という結果に。
リルは私と本当に同じ顔をしている。
幼い頃は、実の両親さえもリルはハート、
私は星のペンダントで見分けていたという
素晴らしい一卵性双生児。
しかし大きくなるにつれてその性格の違いが明らかになっていった。
そしてそのことがはっきりと分かる出来事が起こった。
ある年の2人の誕生日に私達の叔母が来てくれた。
叔母は私達に誕生日プレゼントは何がいいかと聞いてきた
今思えば誕生日当日に何がいいかと聞くのは
おかしいのだがまぁスルーしておこう
リルは、
「リルは可愛いお人形が欲しいなぁ」
と言った。
叔母は
「あらぁそうなの!!」
といってリルの頭を撫でていた。
一方私はというと
「私は高校の数学の参考書が欲しい。」
といった。
すると叔母は
「あらやだ。ずいぶんと大人びているのねぇ。」
と少し驚いて私を見ていた。
リルはとても明るくて可愛らしい正確なのに対し、
私はクールで大人びていたのだ。
そして中学になると、
リルは髪を茶色くし、くるくると巻いて、
今どきの女の子になった。
しかし私は黒い髪をストレートのまっすぐと
伸ばし、まるで流行とは無縁の女の子になった
そして、やがて2人についたあだ名がこうだ
「流行の最先端美女」
「クール美人」
そして私はリルと比べられながら生きてきた。
しかも、高校になるとさらに比べられる始末だ。
はぁ・・・すごく気持ちが重い。

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