機械仕掛けの心の行方
私には、寂しさというものが理解できなかった。


知識としては頭に入っている。

けれど、それがどのような感情なのか、どうすれば解消されるのか、私には理解できない。

息子は独りきりではない。

母親はいないが、マスターはいる。

人とは呼べないが、私もいる。

彼は、独りではない。

他に一人と一体がいるのだから。



それでも募る孤独感とは、どういうことなのか。



寂しいとは、どういうものなのか。



近しい人間が一人欠けることとは、笑顔すら消えてしまうものなのだろうか。

それは、どのような苦しみなのだろうか。

簡単な擬似感情は存在するが、所詮人真似でしかない私には、本物の感情というものが、理解できない。
< 18 / 128 >

この作品をシェア

pagetop