機械仕掛けの心の行方
ある年の、息子の誕生日が近付いたある日のことだった。

例年のように私は息子の好みをリサーチし、既にいくつかの候補に絞っていた。

そろそろ彼にはこのくらいの物が好まれるだろうか、などと若者向けの店で物色をしている私の視界に、同じように誰かへの贈り物を考えるであろう人間の姿が映った。

二人組のその少女らは、どうやら異性への贈り物を考えているらしい。

なるほど、恋人か。

そう言えば、息子にはそのような人物はいないのだろうか。

この年頃の人間には、いてもおかしくないと聞く。
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