ブスな彼女

晋平side

昼休み、自販機の前で片倉に会った。



「片倉、さっきはありがとな。」
お礼が言えなくて気になってた。


「本当の事、言っただけだから…。」


「ぃや、助かったし! あっ!ジュース奢ってやるよ!」

片倉を自販機の前に連れてくる。


片倉は慌てて離れ、手をぶんぶんと振った。


「いらない、そんなの賄賂みたいだよ。」


「えー?そうかぁ?じゃあ、飴やるよ。」

ポケットから飴を取出し、片倉の手に握らせた。


「ブッ!フフ…ありがとう。貰っとく。野瀬君、吸ってないって、ちゃんと否定しないと駄目だよ。」

片倉は笑顔で飴を受け取った。


なんで…。

「なんで吸ってないって思う?」

ヘラヘラと笑って片倉を見た。


「ん? 臭いしないし。あっと…もう行くね。」


片倉はニッコリと笑って離れて行った。


皆が俺はタバコを吸うと決めつける。
見た目が不良だから仕方ない。


地味だと思ってた片倉の笑顔は…可愛いかった。平凡、地味、中の下、どちらかというとブス…。
だけど、自然に笑ったその顔は、以外にも可愛く見えた。



離れて行く片倉の後ろ姿をぼんやりと見ていた。

光輝に蹴られるまで……。


「何があったんだよ……。」


なんでか不機嫌に聞いてきた光輝に4時間目に起きた事を話した。



< 40 / 58 >

この作品をシェア

pagetop