ぞっこん
30話…真夏の俺様
茹だるような暑さだ…。
学校の外では蝉が甲高い声で鳴き、夏の到来を教えてくれている。
汗は体中から流れ制服にベッタリとくっつく。
私、天見入江(あまみいりえ)は長く茶色いクルクル髪を汗まみれの首筋から離らかし生暖かい風を首筋に送った。
それでも汗は止まることはない。
仕方がないので持って来たノートで自らをパタパタと扇いだ。
下校時刻ともあり窓の外からは真っ赤な夕日が顔を出し、グランドをオレンジ色に染めた。
そこにはこの暑さにも負けない元気な運動部員達が声を上げながら活動を行っている。
すごいな…。
私は感心しながら暫くその光景を眺めていた。