ぞっこん
シュンと肩を落とした、その時。
「あー。悪い悪い。こいつ俺のだから手出さないでくれる?
それと悪口も」
背後からよく通った低い声が響いた。
途端に周りがざわめき出す。
「あっ、何だよ帰って来てたんか」
がたいのいい男の人が驚いた様子でそう言った。
「ああ。それよりこいつは諦めてくんねぇ?」
「えぇー!何、彼女!?」
身長の低い人が顔をしかめると「その予定」彼は即答した。
「えっ!」
振り返ろうとすると両目を彼の手により遮断され世界は急に真っ黒に変わった。
「ちょっと!あの!きゃっ!」
パニくる私の体はふわりと宙に浮き、彼の手が離れると目線がいつもよりも空に近い。
そこでやっと男の人の肩に担がれていることに気が付いた。