今宵、跡が残るくらい
その日から半年。
何度君を抱き何度君を愛しただろうか。
「我慢って…」
「アルコールを飲まなければ暴力振るわない優しい旦那なのよ」
正直言えば結婚を考えた事もある。
どうにかして夫から君を奪い君と何の壁もない関係になりたいと。
何度も何度も思った。
「そんな顔しないで」
「ごめん」
「私の所為で貴方は悲しい顔ばかりね」
でも、君は違ったみたいだ。
暴力を振るう夫から離れないと俺を真っ直ぐ見つめながらそう言った。
「でも、大丈夫よ。今日で私とおさらば出来るから貴方はもうそんな顔をしなくていいの」
そして今日も。
君は暴力を振るう夫を選ぶと言った。