無限センチメンタル
第一章
― 第一章 ―


厄介なことになってしまった。


俺は変わり果てた自分の部屋をぼんやりと眺めながら、
今宵何度目かの溜息をついた。


時刻は深夜2時。


俺だって、暇なわけじゃない。

井澤彰人(いざわあきと)
職業、ミュージシャン。

とは言っても、まだ生活するのがやっとの、インディーズバンドだが。

それでもヴォーカル兼ギターをこなし、作詞作曲もする俺は、そこらのサラリーマンより忙しい自信がある。


明日だって仕事の予定が入っているのだ。


にもかかわらず、
「絶対に寝るな!!」
なんて。

昼間、ベースの司(つかさ)がそんな無茶なことを大マジメな顔して言いやがるもんだから、
俺はベットの上であぐらをかいたまま、本来なら寝るべきこの時間をただもて余していた。

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