無限センチメンタル
ぽつんと1人、部屋の隅っこで膝を抱えているソイツは、本当に置物かってくらいピクリとも動かないままで。

顔は膝にうずめていて見えないが、綺麗に伸びた長い黒髪と透けるほど白い肌が印象的だった。

服装やピアスなんかの雰囲気から言って、年齢はまぁ10代~20そこそこといったところだろうか。

「おい、あんたこんなトコで何やってんの?」

俺はその不思議な女に、思わず声を掛けた。

女はゆっくりと顔を上げる。
そして彼女の真っ黒な瞳が俺をとらえ、2人の視線が重なった。

一瞬、息を飲む。
ただその瞳から、目が離せない。


少しの沈黙の後、ようやく女が口を開いた。

「……あんた、あたしが見えるの?」

外見から想像するより、少し低い声だった。

言われた言葉の意味を上手く理解できず、俺は曖昧に困惑の表情を浮べる。

「何ソレ、どーゆう意味?」


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